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連載「メジャーのものさし」 第8号

今週の主役は、だれでしたか

2026年8月21日

今週も、日本人メジャーの数字を毎朝1枚ずつ測ってきました。金曜は、その一週間をまとめて見返す日です。ひとつ問いを置きます。今週の主役は、だれでしたか。

答えは、どの物差しを手に取るかで変わります。同じ一週間なのに、測り方を替えるだけで、呼ばれる名前が入れ替わる。それを確かめる金曜にします。

本塁打という物差しなら

まっすぐ本数で数えるなら、大谷翔平です。今週30本塁打に到達し、これで6年連続のシーズン30本。打率.291、OPS.942、得点創出力を表すwRC+は151.8で、打者としても今季の高い位置に立っています。長打の物差しは、迷わず大谷を指します。

そのすぐ後ろに、村上宗隆が29本で続いています。30号まで、あと1本。打率は.228ですが、四球を69個選び、OPSは.896、wRC+は148.3。本数でも、打席あたりの価値でも、大谷のとなりに並んでいます。打率という一つの数字だけを見ていたら、この並びには気づけません。

岡本和真も今週26本まで伸ばし、74打点を積み上げました。本塁打という物差しは、今週も日本人の打者を上のほうへ、何人も押し上げています。

内容という物差しなら

勝ち負けの記録だけを見ると、佐々木朗希は5勝5敗、防御率4.42です。見出しの数字は、地味に見えるかもしれません。

けれど、直近の3先発をひとつずつ開くと、違う顔が出てきます。8月7日に6回2失点、13日に6回2失点、19日は5回2失点で6奪三振。3試合つづけて、2失点以内。夏の投球の中身は、はっきりかみ合ってきています。シーズンを通した防御率は、いまの佐々木を映していません。ひとつの数字に季節ぜんぶを平らにされてしまうと、いま起きている変化が見えなくなる。

鈴木誠也も、物差しを替えると見え方が変わる一人でした。打率.268の右打者ですが、対戦相手の左右で分けると、対左投手はOPS.963、打率.302(128打席)。対右投手は.802。右投手より、左投手のほうをよく打っている。ふだんの一つの平均値では、この差はきれいに隠れたままです。

順位表という物差しなら

チームの位置で測ると、また別の主役が浮かびます。大谷・佐々木・山本由伸のドジャースは77勝51敗、勝率.602で地区首位を走り、今週は連勝で締めました。鈴木・今永昇太のカブスは74勝54敗、4.5ゲーム差の2位。村上・西田陸浮のホワイトソックスも66勝60敗で地区1位につけています。岡本のブルージェイズは62勝66敗。同じ一週間が、本塁打の物差しとはまた違う名前を、先頭に呼びます。

物差しをひとつに決めないこと。それが、この連載が毎朝やっていることでした。今週の「あの年の今日」も、1964年に扉を開けた村上雅則さんから始まる歴代の名簿を、今日の日付でそっと並べてきました。62年前の最初の一夜と、今夜の30号への一本を、同じ盤の上で測る。歴史もまた、ひとつの物差しです。過去は資料館にしまわれているのではなく、毎朝のボックススコアのすぐ隣に立っています。

あしたへ

きょうの夜、NHKが「村上宗隆30号なるか」を伝えます。あと1本が出るかどうか、日本の茶の間が見守る夜です。

本塁打で測れば、あと1本。四球や出塁で測れば、もう平均を大きく超えている。順位で測れば、地区の首位。ひとりの選手を、いくつもの物差しで測れる——それがこの連載『メジャーのものさし』の約束です。

来週も、また別の一週間を測ります。

図: 今週の4打者 図: 順位表

今週の「あの年の今日」拾遺 / 数値はすべてMLB Stats APIの公式記録(2026-08-21取得)

Data: MLB Stats API / 非公式・MLBとは無関係の個人の日報です

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